俺は冷血だ ひっひっひ♪
手入れの行き届いた清潔な部屋。
かいがいしくわが子の世話を焼く様子を見ると俺の決心もつい鈍ってしまいます。
女手一つでここまでやってきたのです。
しかもまだ若い身で。
できればず~~っとそのまま見守ってゆきたい。
でもそれは世間が許さないことです。
上司からもきつく念を押されています。
俺は心を鬼にして言いました。
「あんたらにここにいてもらうと、迷惑なんだよ」
彼女は無言で子供を後ろ手にかばいながら俺を睨みつけています。
かなわぬまでも刺し違える覚悟のようです。
俺はあえて無表情に手にしたスプレーをシューっと一噴き。
彼女がひるんだ隙を見てすばやく子供部屋を切り離しました。
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こうして職場に巣くっていたアシナガバチを退治したのでした。
殺虫剤にびっくりした彼女はかなたへ飛んでゆきました。
無念です。
哀れです。
ハチと人とは共存できないのでしょうか。
次はもっと人目につかないところに巣を作るんだよ。。。
飛び去る彼女の後姿へそっと語りかけました。